2009年10月と11月の読書メモ

kodamatsukimi2009-11-30


・奇数月の月末。すなわち
 メディアマーカーhttp://mediamarker.net/u/kodama/)をもとに
 読書感想を書いて更新回数を水増しするの回。
 今回も積みあがっております。10月は1冊も買わなかったのに。

・ところで当然ながら、最長2ヵ月前に読んだ本の内容を
 感想書けるほど覚えているわけがないので、コピーと貼り付けを駆使。
 とはいえそのままコピーしたものであれば
 メディアマーカーの方を、多少読み難いかもしれませんが見ていただけば良いので
 一応違うことを書けそうなものを採り上げております。
 つまり面白かった度とかとはあまり関係ないながら
 興味を引かれた度とは関係あるかもしれない。


Amazonのリンクに「クリック」「購入」の人数表示あるものがありますが
 これは「はてなダイアリー」のリンク形式を通して、であって
 このサイトを通してではありません。
 このサイトはアフィリエイトを利用しておりませんが
 「はてなダイアリー」のAmazonへのリンクを通して購入するとはてな社にお金が行く仕組み。
 このサイト的には情報参照用。ご注意くださいませ。
 

敵は海賊・短篇版 (ハヤカワ文庫JA)

敵は海賊・短篇版 (ハヤカワ文庫JA)


神林長平作品は、日本SF作家によるものの中で格好良さが抜群なのである。
 というようすを感じるのだが、個人的には苦手。
 10冊くらい読んでいるがたいがい眠くなる。
 『戦闘妖精』のような長編は楽しく読めるのだが
 短編になるほど補う必要ある想像の余地が足りず、頭が本日の業務を停止する。


・ところで読んでいて眠くなる作品は駄目なのだろうか。
 一読書を置くにあたわずといった作品が良いのだろうか。
 何を書いてあったか忘れるので何度も折を見て読み直す作品が良いのか、
 では、一度読めば充分だけれども生涯忘れない作品はどうなのだろうか。


・本はあきれるほど安い。数百円でほぼ確実に数時間は楽しめる。
 ゲームセンターなら30分で消える金額で、しかも読んだ後手元に現物残るのである。
 これは大変素晴らしい、といえるが
 しかし本を読んだりゲームを遊んだりする時間は限られている。
 数百円で数時間楽しめるなら、延々本読み続けるのが一番安上がりといえるが
 けれどそれでは空腹を満たすため最低限働いて稼いだお金を使いきれないのだ。


・よって眠くなるような本も読むのである。
 ここで心を慰めるのは、
 その本を書くのに作者が費やした時間に限らず様々な量を思うことで、
 そうすれば神林長平作品は、私が一日働いて稼いだお金より価値あるのは確かである。



ローマ人の物語 (35) 最後の努力(上) (新潮文庫) ローマ人の物語 (36) 最後の努力(中) (新潮文庫) ローマ人の物語 (37) 最後の努力(下) (新潮文庫)

・毎年読むたび思うこと。
 この本はハードカバーで揃えるべきだった。それくらいには面白いのである。
 そして完結してから存在に気付くべきだった。
 ハードカバー版は完結しているけれど、文庫化完結まであと2年かかるのである。
 うまい商売だ。


・この作品は、歴史物語小説、つまり司馬遼太郎のとか三国志とかではなく
 古代ローマ帝国を主題とした歴史に対する評論であります。
 焦点は各時代の帝国首相、つまり歴代皇帝に当てられるのですが
 彼らが台詞を述べたりするわけではなく、終始しゃべっているのは作者という形式。

・作者が語りたいことは
 ローマ帝国はなぜ一日ならずとはいえ大帝国になり
 そしてなぜ日本のように残らずに滅びてしまったのかを
 ローマに住む日本人の視点から、専門学術的ではなく、
 残されている記録からこうだったからではなかろうか、と思うところを述べたもの。
 形式が違うだけで良くある歴史小説とあまり変わるところはありません。
 むしろなぜこういう形式を他のかたも採用せず小説という形式にしてしまうか不思議。
 資料を調べる労力が見合わないというところはありましょうけれども。


・ちなみにここで思うことは、ノンフィクションというジャンルの不思議。
 小説は作者による作りごと、嘘だから読む気にならず
 現実世の中が書いてある新書とかノンフィクションを読む、という意見であります。
 しかしあらゆる著作は、作者読者がどう思おうとも
 起こった事柄をその立場から見たものに過ぎず
 嘘が無いとは、そう思うということの表明に過ぎない。

・そして間違いのないことを決定するのは識者でなく各人である。
 科学的に正しそうな、物理に関する方程式といえども
 式が表すのは特定条件下においてのみである前提も含めていることは忘れがちであるし
 表しているだけで、式が「現実」を決定しているわけではないことも
 それを見出し、そこに意味感じる人間自体が覚えていられないようできている。


・話を戻して読書の感想。今回の内容。

 コンスタンティヌスは、ただ単に、多くのまじめなキリスト教徒たちの例に従ったまでなのであった。つまり、現世では、キリスト教の教えでは大罪に値すること確実な悪しき行為でもやらざるをえない以上、キリスト教徒になるための洗礼を、そのような行為はやろうにもやれないときまで先延ばししたのである」
 (下巻P134より引用)

 経済の良好であることを多くのひとが願っても、けれど「現実」はかなわないに同じく
 神の教えも創造したわれわれが全知全能でないゆえ
 その祈りに従うことはあり得ない。
 無論、科学教においてもまたしかり。



黒死館殺人事件 (河出文庫)

黒死館殺人事件 (河出文庫)

・日本のミステリ三大奇書のひとつとして有名な本作。
 ちなみに残りは『ドグラマグラ』と『虚無への供物』でございます。
 そういう前提もって読んでみたわけですが
 これは凄い。
 ちなみに青空文庫でも読めるので興味ある方はどうぞ。

 青空文庫:黒死館殺人事件 http://www.aozora.gr.jp/cards/000125/card1317.html

・この作品がかかれたのは1934年。
 よくぞまあその当時、これだけの知識量をひとりの作家が持ちえたものと感嘆しきり。
 そして作者が日本人で良かった。日本語で書いてくれてよかった。
 この晦渋極まりない内容は日本語文章芸のひとつ行きつく先でありましょう。
 ミステリとして面白いのかどうかはさっぱりわかりませんが。



ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))

・上の三大奇ミステリ同様、本作も読んでいるひとには当然過ぎるくらいの基礎文献。
 しかしながらわたくし一番有名なニャル子さんですら
 『ワイルドアームズ』と『ペルソナ1』『同2』くらいでしかご存じございません。
 そして読んでみても、想像力欠けてホラーもの大概楽しめない自信あるとはいえ
 このクトゥルフ神話がなぜそこまで人口に膾炙されているのか謎。よくわからない。
 どにそんな魅力があるのかしらん。というのが現時点の感想です。



ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)

・さらに続いてとても有名な作品。
 題名は知っているけれど読んだことない率が高そうであり
 『かもめのジョナサン』とか『星の王子様』などもそのような感じと思われる。
 はい読んだことありません。

・というわけで題材とされている青春時代を過ぎてようやく手に取ったわけだが
 なるほど青春小説としかいいようない作品である。普遍性の高さが完璧である。
 『僕は友達が少ない』が妄想の中にあり到達する必要ない理想の青春ならば
 こちらはそういうように思えていたと思いたい理想の青春。
 しかし聖性高い妹が理解してくれるのが理想でないように
 こちらの愚かさの程度もまた現実である。
 


このライトノベルがすごい! 2010

このライトノベルがすごい! 2010

・ランキングで人気作品が発表されるのですが
 ネットで限られた期間に宝島社のサイトで書いて投票するという、
 ライトノベルと呼ばれるジャンルを読んでいるなかでも限定された層の人気投票ゆえ
 毎年同じような傾向を示すのは面白いところであります。
 女性向けに出されているものがほとんどないのは残念なところ。
 『伯爵と妖精』や『身代わり伯爵』くらいでは無理なのか。

・『このミステリがすごい』も、ミステリであるという対象がとても広いですが
 ライトノベルというのもミステリやSFに負けず特殊な切り分け方。
 そうするとなぜかマンガは非常に整理されている印象を受けて不思議。
 思うに雑誌という形態が作り出す区分。
 読まないひとはマンガサンデーや月刊チャンピオンを決して読むことはない。
 というより視界に入ることがない。
 この雑誌によるわかれが文化という不定形に意識されない壁でそれぞれを分けている。
 何がこれを作っているのか、現実は不思議であることよ。



TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)の
 リプレイ、すなわち遊んでいる会話を文章にして少し説明加えて本にしたもの。

TRPGがどういうものかは
 これまでゲーマーとしてしったかぶりして書いてきた程度に知ってはいるものの
 遊んだことはない。
 上の『このライトノベルがすごい』を読んでいて
 そういえばここ10年くらいでのライトノベル内にあるTRPGリプレイというのは
 まさに視野から落ちていた、目の前にあったけれども見えていなかったと気づいたので
 今更ながら手を出してみた次第。 

・これはなかなか危険である。
 以前書いたように(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20070514)、
 キャラクターや物語には萌えないのだけれども無駄な設定はとても好きなのである。
 気が付かなかったがTRPGというのはファンタジー小説やあるいはゲーム以上に
 そのゲームを遊ぶわけではないひとにとってはまた特に、無駄な設定のかたまりだ。
 これは危険だ。危険な魅力。


・というわけで来月からはTRPGに少し嵌ってみる予定です。