やり込み入門


・どんなゲームでもとりあえず目標が与えられています。
 エンディングをみてゲームクリアすること。
 けれどそれは目標であって
 ゲームをする目的はそこにはない。その過程を楽しむことです。

・クリアしたらばそのゲームを楽しめることは終わりではない。
 そこから始まるのが「やり込み」です。



・その種類をざっと挙げてみると
 「スコアアタック」いかに好成績でクリアするか
 「タイムアタック」いかに短い時間でクリアするか
 「低レベルアタック」いかに低いレベルでクリアするか。
 それに加えて様々なゲームシステムに絡む制限条件を加えた「特殊プレイ」があります。


・「やり込み」はなにもRPGの専売特許ではありません。
 STGの「スコアアタック」。最適パターンを構築し、それをミスなく実行する。
 他と何も変わらない。

・ただ、スコアを競うことが目標に置かれているゲームは
 いまやSTGリズムゲーム、シミュレーターなど
 他と競うに明確な物差がない一部のジャンルでしか存在しない。
 『スト2』には最初ボーナスステージがありました。あれは何のためにあったのか。
 『マリオブラザーズ』。ボーナスステージには敵が出ないので面白くない。
 『電車でGO!』では他人と競いようがない。

・ゲームをクリアした、という最初の目標の向こうにあるのは自己満足でなく
 やはり誰かとの競い合いであるのです。


・「タイムアタック」はもっとも分りやすい「やり込み」です。
 誰もがたどるクリアまでの一連の過程を、方法は問わず、いかに早くこなしていくか。
 何より時間がかからないですから、2回目に遊ぶときなど
 アイテム全種収集などと並んで、もっとも親しみやすいものでもあります。

・普通に試しても、1回目の時間に比べれば明らかに早くなっているのが体感できて楽しいです。
 けれど早さを競うは、ひとでも車でもゲームでも
 それが限界に近づくほどにその壁は高くなります。
 『ドラクエ』を10時間でクリアできるものなのか。
 試してみれば近づくほどその高さがわかります。

・派手な裏技、バグ技がその速さの理由ではありません。
 それが一度見つかれば誰もがそれを使用する。方法を公明にしなければ競い合えない。
 ではどこで差がつくのか。
 最適パターンを構築する、そのための膨大な知識と経験、そして新戦略への発想、
 それをミスなくこなしていく技術。
 その双方。結局のところそこなのです。

・『スーパーマリオブラザーズ』のタイムアタック
 対戦格闘の100人抜きまでのタイムアタック
 『ドラクエ』クリアまでのタイムアタック
 よりそのゲームに熟練し、上手くなることこそがその方法。
 「やり込み」はゲームが上手であることです。


・「低レベルクリア」、様々な制限を掛けた「やり込み」は素人めにはわかりにくい。
 「DQ1〜5を1日でクリア」(http://www.geocities.jp/hapi_dq/)は単純に凄い記録とわかっても
 「FF8レベル1クリアー」「タクティクスオウガ ノーセーブノーダメージクリアー」を比べて
 そのゲームを知らなければどちらがどう凄くて凄くないのか判断が尽きつらいものです。

・けれど「低レベルクリア」こそがゲームを極めるという意味でもっとも凄みを感じるものでもあり
 そして弾幕をかいくぐる技術、CPUの超反応に先読みする技術がなくとも
 知識さえあれば、誰にでもできる「やり込み」でもあります。

・ゲームシステムを理解すること。構築されているゲーム世界を知り尽くすこと。
 そこから「低レベルクリア」は始まります。
 漠然とリセットを繰り返しながら先に進むだけでは行き詰まり良い記録は生まれません。
 極限の限界、例えば必ず入手できる経験値量はどれだけで最低何レベルまでは上がるものなのか。
 このボス敵を倒すためには最低限、どれだけの強さが必要なのか。

・どうすれば倒すこと、クリアすることが出来るのか。
 それを考えていく過程。その結果実現される考えられなかった驚くべき結果。
 その深さを味わうことは本当に楽しい。
 そのゲームを知るほどに、見えていなかったまったく違うものが現れてくるのは本当に楽しいことです。
 これが「やり込み」の醍醐味です。


・「低レベルクリア」はレベルに制限を加えた「特殊なプレイ」のひとつです。
 ノーセーブクリア、ノーダメージクリア、
 アイテム使用禁止、装備禁止、スキル特技ジョブ禁止、メニュー画面開くの禁止。
 ゲームシステムの数だけ制限付きクリアの数はあります。

・例えばSTGの移動禁止クリア。
 (例;東方wikiより http://thwiki.info/pukiwiki.php?%C5%EC%CA%FD%A5%B9%A5%EC%CD%D1%B8%EC%BC%AD%C5%B5#content_1_62
 これも間違いなく素晴らしい特殊プレイ、制限付きプレイであり「やり込み」です。

・以前紹介した「斑鳩ダブルプレイ」なども特殊プレイ。
 けれど『雷電3』のダブルプレイは特殊でないわけで、ではどこからどこまでが特殊なのか
 開発者の想定範囲外を行かなければ特殊でないのか、けれどSTGの最適解は開発者想定どおりなのかそうでないのか
 ばっさり判りやすくいうなら
 そのゲームを知っていて凄いと感心できるものは「やり込み」です。

・制限付きプレイはゲームの数だけ以上に必ずあります。無数にあります。
 どれがどう凄いのか、それを知っていなければわからないのは
 そのゲームが面白いかどうか、やり込んでみるまでわからないという奥深さでもあること。

・『サガ』シリーズは普通に遊ぶと面白くない。理不尽につまらない。
 けれど理解して工夫していくほどに、やり込んでいくほどに奥深く面白い。
 (http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20050522
 「やり込み」というやりかたは、ゲームに表面だけでない面白さを見せてくれます。




・「やり込み」をしてみるに、まずどうすればよいのか。
 まず最高峰を眺めてみます。


・アクションやSTGならば市販の大会記録、スーパープレイ集を見てみたり
 ゲームセンターに足を運んだり。
 その差は目に見えて明確ではない、知らなければ凄さがわかりにくいので向上が大変です。
 はてまた圧倒的に凄すぎて理論上可能なのだし実際しているわけだけれども
 実現上自分には不可能だと途方にも暮れます。

・最高でなく、自分をどこまで高めることができるか。
 そしてまず目の前の対戦相手、課題をクリアしていくこと。
 その繰り返しの先に頂点は見えてきます。
 けれどそれで良いのです。ゲームの目的は、目標でなくその過程にあるのだから。
 (http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20040816


・その点RPGなどは恵まれておりましょう。
 「ULTIMAGARDEN」過去の記録(http://ultimagarden.net/archive.html)の内、
 クリアしたことのある、より良く知っているゲームについてのものを読んでみます。
 もう感動。お腹一杯。
 ここまでされたらもう無理だ。
 そんな感じではありますが、「やり込み」はゲームの数とそれ以上にある。終わりはありません。

・まずは 『7(セブン)〜モールモースの騎兵隊〜』(ASIN:B00006BXPQ)をお勧めします。
 このゲームはレベルもなく、つねに条件一定下でのタクティカルコンバットを楽しめ
 それでいて『カードヒーロー』などに比べて緩い、まあ悪く言えば底が浅いので
 容易に考えて敵を攻略する楽しさが味わえます。
 この面白さが「やり込み」の入り口。

・次は『ブレスオブファイア5 ドラゴンクォーター』(ASIN:B00009RBZY)。
 システムに最初から多くの制限が掛けられているため
 それをどう工夫して乗り越えていくか、考えての遊び方はまさに「やり込み」の楽しさ。
 ゲームを理解するほど、奥深さを発見するほど解る面白さです。



・ゲームを遊ぶことは娯楽です。まず面白くあること。
 どうすれば自分にとって面白いか。
 長時間の下調べや稼ぎ作業が必要であるのも「やり込み」の特徴です。
 それが面白いかどうか。このゲームはどこが面白いのか。
 やり込んでいるひとたちが見ている面白さと
 一度クリアして満足して売りにいくこのゲームに自分が感じた面白さの違いは何か。


・ゲームに感じる楽しさはひとそれぞれ。楽しむ方法も様々です。
 その仕方のひとつが、「やり込み」というものです。