殺陣弾幕STG『東方文花帖 〜Shoot the Bullet』

kodamatsukimi2006-04-18



 上海アリス幻樂団 http://www16.big.or.jp/~zun/
  紹介ページ http://kourindou.exblog.jp/1835374/
 東方Wiki http://thwiki.info/


・未だに公式サイトに紹介文なく、体験版もちろんない、
 毎度お馴染み同人の枠越えた質持つ『東方』、その第9.5弾『文花帖』。

・なんだか斬新らしく、どういうゲームか良く分らない。
 写真撮るSTGということで思い浮かぶは『激写ボーイ』。
 けれどもこれアクションで発展させるとたぶん『罪と罰』風味。違う。
 あれを2DでSTGとするとなると、果たしてその姿たるやいかなるもの成るにといった風。


・写真を撮ることで攻撃。
 敵攻撃いつものように避け、相手姿をフレームに収める、がすること。
 撮影は溜め攻撃、ゲージ100%時のみ1発射。連発不可。
 ステージ道中等なくボス戦のみ。残機などなく倒せるまでひたすら再挑戦。

・照準指定攻撃しかない、ボス戦のみ縦弾幕STG
 一見して単純。攻撃手段幅狭い。狭い仕組みのSTG
 幅広くは『式神の城』と比べて、実に狭く限る実験風味漂う同人の味。
 そういうに感じる始めの一口。




・いささか話しそれさせていただきまして。

・ここのところ『真・三国無双4Empires』をぼけぼけ遊んでいたのですが
 「無双」だけに安定面白いけれども単調面白くない。
 何が駄目かというならばひとこと、敵が弱いこと。
 雑魚をがしがし倒せるは、気持ち良くて良いけれども
 最期に待つ敵大将まで簡単に倒して起伏が無い。
 区切りがない。クリアした気がしない。

・だからいつまでも延々だらだら。
 そこが欠点なのに引きでもある。うむ。上手いつくりです。


・『ギャラガ』などの初期除いて『ゼビウス』くらいから以降、
 STGにはステージごとボスが最期に待っています。
 雑魚敵なぎ倒して準備運動、強烈攻撃のボス戦山場。盛り上がり起伏あり。
 1ゲームを幾つかステージに分け、興奮曲線緩急付けて上げていく仕組み。

・これもなるほど、上手い方法。
 クリア出来た喜びをいや増す仕方。


・雑魚ばかりの『無双』。ステージ構成STG。とすると
 ボス戦ばかりモードというのも有りであり。実際あります。『スグリ』とか。
 『ワンダと巨像』もおまけモードとして巨像戦タイムアタックがありました。
 なぜってなぜなら、やはりボスとの戦いは、雑魚蹴散らすのと同位に楽しいからです。

・画面を覆いつくす巨大敵。桁違いの激しい攻撃。
 そのとてもとても比べるもないほど強い相手を、弱い自分が倒す楽しさ。
 もしかしたらば自分は強いのではないか。
 いや弱い。この操作している自機は雑魚の一撃で倒されるほど弱い。
 するとつまり、強くて賢いのはその弱いの使って強きに勝った私なのだ、と。


・ここで当然立ち上がる問題は
 弱い敵もいないと、強い敵を強いと、自機を弱いと思えないこと。
 だから雑魚敵も居た方が良いのであって
 ボス百連発は熟達した貴方様への特別対応であるわけです。

・ただひたすら強い敵と戦うはひと選ぶ。
 雑魚をひたすら倒すに比べれば単調ではない。
 けれど雑魚ではないのだから強い、つまり倒すのが難しいのであって
 クリアするのが難しい。雑魚倒して自分はやはり強いはずと気分転換も出来ない。
 よって幅狭い。
 そういう仕様であるのです。



・『文花帖』遊ぶ操作の仕組みは、いつもと比べてそう変わるところないそれです。
 まず飛んでくる敵の弾をよけること。
 ボス戦ばかりゆえ画面固定。よって画面下隅でバラマキと自機狙いを見分けて軸線ずらす。 
 いつものそれ。
 ボスを狙い撃つ必要は本作ないので
 とにかく隅追い詰められないよう避けていれば良いわけ。ある意味楽。


・少し違うのは速度が3段変速であること。
 高速と低速、のいつものに加えてさらに低速の超精密移動。
 この切り替え中々良い。

・精密移動は低速移動ボタン及びショットボタンの同時押しで行うのですが
 いつもショットボタンは敵が射線に居ようが居まいが大概押しっぱなしであるわけで
 自機縦線上にひっかかった雑魚敵を勝手に落としてくれる武器。
 あまり狙って撃つ感じでない。
 いつも押しっぱなしならばそのボタンは必要なくないか、と
 携帯アプリなどでは省略されたりして存在意義問われてしまうわけですが
 つまり速度変更ボタンで良いのだ。速度変更ギアチェンジとしての役を
 まず弾幕をかわすことから始めましょうの弾幕STGにして置くことで
 意味を持たせる、というのは、なるほど当たり前。なぜなかったかと不思議なそれ。
 『イメージファイト』。速度可変で弾幕捌くはいまさら新鮮楽しいです。 


・それでそのショット打ちっぱなしが代わりに溜め攻撃。一撃必殺。ではないですが
 今度の一撃、過去最強であって、あらゆる弾幕を打ち消せます。相殺です。
 我々の夢全方位360度高速回転レーザーが完成したぞと敵軍団喜んでる所に相殺。

・弱点ひとつは溜めないと打てないところ。強力ゆえに連射効かない。
 相手を落とすためにはもちろん、弾幕嵐から身守るためにも必要あるので
 いつ、どこで使うか。従来のショットよりボンバーの役であると言えましょう。

・そして弱点ふたつ。射程範囲が狭いこと。
 とりあえず防御用なら即座撃てば自機やや前方弾消してくれるので有用問題ないですが
 攻撃となると近すぎ。相手に遠過ぎ届かない。
 射程範囲内に収めるために近づかねば。
 しかし弾は上から降ってくる。敵は上でふらついている。
 弾元へ近づくは、あの世への距離縮める等しい。


・することは単純。
 敵の弾をかわす。溜めて撃つ。それだけ。
 雑魚配置アイテム配置を覚える必要も、敵弾に近づき高得点倍率を狙う必要もない。
 溜めている間かわし、近づいて正確に撃つだけ。それだけ。

・それだけに難しい。
 とにかくかわす。手元だけ見て避ける。けれどいつもと違ってそれでは倒せない。
 弾幕構成覚える。隙を探す。飛び込む機を掴む。ところがまだ溜まっていない。
 速度切り替えつつ捌いて溜める。溜まった。しかし近づけない。
 溜まった状態では精密移動から切り替えられないので防御一辺倒、誤って無駄撃ち。

・攻守のどちらもを同時にこなさねばならない、という
 いつも当たり前にしていることが
 切り分けられているだけで、自分で切り替えなけらばならないだけで
 こんなにも難しい。
 単純であるのに難しい。 


・本作は難易度高いです。
 難易度選択なし。誰でもエンディング見れる仕様でない。
 しかし隙ない、『東方』が同人を抜けて質高いは
 そこを解って、再挑戦の負荷を限りなく低くしているところ。

・することなすこと、敵配置の綾や手段の幅で勝負する商業メーカーと異なる
 独自独歩同人でしか許されないこと成しながら、しかし押さえるべきは押さえる。
 らしからぬ同人サークル上海アリス弦楽団。他になく特殊特別なる存在なるなり。




・その幅狭い。そのつくりは単純。
 けれどそれつまりは、一切無駄がないということ。


・いつもに変わらず多種多様の弾幕嵐を、見て、避け、
 そして新しく弾幕発射源へと潜り込む動き。瞬間一撃一閃。攻守の切り替え。

・相手の攻撃、目で見る必要ないほどまでに、覚える試行の繰返し。
 手元だけ見て軸線合わすだけではない。
 弾幕を覚え、見切る。見ることなしに御する。
 そして近接、相手の「弾」を「撮る」。

・余計な雑魚戦闘ないボスとの一対一。
 攻撃を消し、かわし、隙視て懐飛び込む遊撃効率動。
 字が違う。いつもと違う、それが殺陣アクションならぬ「殺陣弾幕STG」の姿。


・幅狭く、よって無駄なく。
 単純、ゆえに明瞭。
 だから美しい。ゲームの仕組み結構無駄なく完璧明瞭ゆえに美しい。
 隙無き仕上がり。そしていつものように面白い。

・それが殺陣弾幕STG東方文花帖 〜Shoot the Bullet』。
 美しいゲームです。