GALZOOアイランド

今月遊んでいたのはPC18禁指定ゲーム。ゆえに公式サイトなどへリンクなし。
360とかPS3のZ指定ゲームはあり。何この差別。
肌色は微か隠されてこそのものであるから仕方ないのである。


その肌色でよくわかりづらいですが、ジャンルはSRPGRPG
PC18禁ジャンルのゲームをたくさん遊んでいるわけではないので
それらとの比較は出来ないですが、PCのRPGなのになかなか遊べるRPG
豪勢な動画とかはないけれど小規模 well made。
こちらは18禁ではないけれどファルコム製ゲームとありようが同傾向。
製作のアリスソフト作品には、RPGSLGとしての出来良さにも、
それぞれ感心させられることしきりなのですが、
お話中身の題材的なところ、前回の『デモンズソウル』でもふれたような、
遊んでいて見てとれる景色や音楽や筋書きの運び方などから湧き上がる
雰囲気てきなところも好みです。


例えば以前感想を書いた、いわゆる国取りSLG、地域制圧SLG大悪司』。
主人公はチンピラや三下でない生粋のヤクザ屋さん。
弱者に対して暴力が有効ならそれを活用するに躊躇しない。
「弱きを助け強気を挫く」が定義の「任侠」とはほど遠い人物造形。
一見、遊んでいてこの無口なキャラクタは
何を行動の規範としているのかわかりづらいのですが
ヤクザ屋という特殊企業を継いでいる立場から一般に異なるのであって
身内の利益を護る行動は一貫している。
個人自身の利益、欲望、感情でなく、自身と目の届く周りのために
為すべきことをしているのだ。


ちょっとしたことではあるけれど、
こういう一風変わった主人公のキャラクタ表現などが面白い。
強者ではあっても英雄ではない。善や正義に囚われない。
そういうすこし変わった表現、見せ方を
自覚的に、PC18禁の場を活かしているところがアリスソフト製の魅力。
見ていて面白いのです。



さて今回の『GALZOOアイランド』は
私的には『大悪司』や『ランス』シリーズのような
キャラクタ描写を通した世界設定が好みなゲームではないのですが
SRPG、『ファイアーエムブレム』とか『タクティクスオウガ』とかああいうので
女性キャラのみでクリア、みたいなことをするゲームである。
主人公は男だが仲間になるキャラは基本全員女性。肌色ゲームですから。


ゲームの中身の方は、『九龍妖魔學園紀』に似た感じ。
SRPG風の進行や仲間キャラクタ扱いのあるRPG
ステージすなわち1ダンジョンをクリアして進めていくごと仲間が増える。
仲間が増えて戦闘手段倍増、戦力増強を重ねて敵を倒す。
戦場会戦するのでなく、ダンジョン潜りアイテム集め敵倒して仲間集める。


特徴的なのはターン制限があること。1回ダンジョン潜ると1日経過。
基本7日ごと1ダンジョンクリアできないとゲームオーバー。
ただし繰越可能。
例えば3日でクリアすれば次のダンジョンは11日掛けられる、という具合。
ダンジョン潜っている間も、移動するごと戦闘するごと時間経過あり。
RPGなのに、常に追い立てられ、無駄な遊び許されないようなこの仕組みは
好き嫌い分かれるところ。


7日ごと1ステージクリアの制限は
会戦型戦闘のSRPGとかで部隊撤退しないよう戦場隅で援軍養殖、
ちまちま二軍育成しなければならないゲーム、とかと比べて
どちらが好みか、という問題でありましょう。
そもそもどちらも嫌。主人公御一行がクリアするまで
誰も解決することが出来ない謎で世界が出来ている、という
普通のRPGでなければ駄目という向きもあるかもしれませんけれども。
なお、一応ハードモードとしてこの時間制限がない
普通のRPGモードも用意されております。


ダンジョン内の行動するごとの時間経過も、実際遊ぶとそれほどキツくなく
俺の屍を越えてゆけ』『ルーンファクトリー』のような按配、
というか『九龍妖魔學園紀』のそれ。
時間制限、行動回数制限があることで
技使用回数や消費アイテムなどの資源管理にもメリハリ付いて
テンポの良さに貢献しており、区切り良くだれずに遊べます。
また先の7日で1ダンジョンクリアも、遊びなれてくれば
そのダンジョンをどういうように踏み馴らせば
最短日数で遊び通せるか、というパズルのように楽しめる。
前述の「普通のRPG」モードはSRPG風のこういう楽しさを
潰しているとも見れましょう。


仲間は1ダンジョンごと3人くらいずつ増えるけれど出撃可能は最高8人。
お気に入りキャラクタに絞って経験値集中投入したほうが効率良い、
けれど最初から育てた思い入れある仲間より
後半登場するキャラクタほど優秀というSRPGのお約束。
戦闘や探索はSRPGでなくRPGなのですが
この部分の出来は1年くらい前に発売の『九龍妖魔』より洗練されていて、
連れて行く仲間ごとの特技属性得意不得意がより意識されつつ
HPや行動回数の一括管理などで、やはりテンポ重視にまとめられている。
このあたりの、既存のものを取捨選択、簡略簡潔にして纏め上げる
ゲーム様式のありかたは流石のアリスソフト製。
否18禁の全ゲームメーカー眺めても屈指の素晴らしさ。



総じて、メーカーブランド名裏切らない、
否18禁のSRPGRPGと並べてなんら遜色ない、良く出来た作品。
ただ中身は、女性キャラクタのみでクリア、というだけなので
やや売りというか遊びとしての訴求が弱い感もあり。
仲間となるキャラクタの魅力もSRPG的、
つまりストーリー演出上だけのもの、
すなわち本筋とからまって登場順変更不可という固形のもので
ドラクエ5』の旅の仲間としてのモンスターや
メガテン』の舞台背景設定そのものが持つ魅力というように
RPGの仲間としては素材の土台に欠ける感じです。


RPGSRPGの登場人物にまつわる設定、その魅力の見せ方はいろいろですが
そのキャラクタを仲間にして共に戦うことが出来る、という場合にのみ、
引き立つキャラクタは限られているのではないか。
そのあたり『ファイアーエムブレム』のような戦記英雄物語の据わり良さに
改めて感心した次第。