「ドラゴンクエストⅧ」

kodamatsukimi2004-12-11


 PS2 スクウェア・エニックス 開発:レベルファイブhttp://www.level5.co.jp/
 11月27日発売 ¥9、240 ASIN:B00062ILP8

 公式サイト http://www.square-enix.co.jp/dragonquest/eight/


・「見わたす限りの世界がある。」
 キャッチコピーの通り、空と海と大地を見渡せます。


・「1」から「7」までは
 街、フイールドの見下ろし画面と
 自分たちの姿が見えない戦闘シーンで表現されていた世界。
 ゲーム世界だからデフォルメされている。
 そのままではなく簡易的に表現されている。
 そのお約束の下で、限られた情報から作られ想像していた世界。

・「8」ではその想像通りの世界に自ら立って
 丘を駆け上がり、遥か彼方に広がる世界を見渡すことができる。
 そしてそこまで、どこまでも歩いて行ける。 
 単純に楽しく、気持ちが良くて素晴らしい。

・2Dから3Dにゲーム表現の主流が変わって10年。
 伝統工芸品「ドラゴンクエスト」シリーズも
 ついに新しい世界に降り立ったのです。


・見た目こそ劇的に変わったものの、中身はいつもの「ドラクエ」。
 いくら食べても飽きのこない定番メニュー、スタンダードナンバー。

・街を見つけたら、話を聞いてタンスを開けて壷を割る。
 次に何を買おうか悩んで、魔物を倒して道具を売ってカジノのコインに変わって消える。
 お城はストーリーイベントの象徴であり、ダンジョン奥地はボス敵との決戦場。
 レベルを上げて強くなり、装備を揃えて強くなり、
 そして最期のボスを倒してエンディング。

・まさにいつもの「ドラゴンクエスト」。
 なぜその様に面倒な作業を繰り返すのか。
 同じような敵と何時間も何十時間も同じようにたたかって、
 それでなにが面白いのか。

・それがロールプレイングゲーム、いや「ドラクエ」なのであり
 なぜってだって面白いのです、その作業が。擬似冒険体験が。



・RPGは戦闘と成長の物語。
 各要素について見ていきましょう。


・今回は戦闘メンバーは4人で固定。
 それぞれが戦士、勇者、僧侶、魔法使いの役柄で
 「3」で完成されたドラクエ基本4職業を踏襲。

・キャラクター人数を増やし、駒の使い分けに戦術展開を広げるのではなく
 あえてシンプルに回帰したのは
 職業と特技、FFでいうところのジョブ、アビリティーシステムによる
 キャラクターの没個性化、専門化ではなく万能化を促すこのシステムが
 所要時間、個性の表現、両面で重要な戦闘において
 「キャラクターを立てる」ことに逆効果、
 無個性化がストーリーの引きに悪影響だった、
 という「6」「7」において陥った複雑煩雑になる傾向を
 一度リセットする考えからでしょうか。


・各キャラクターは
 レベルアップ時の職業偏差のある能力値上昇、規定レベルごとの呪文獲得という
 変更できない職業個性の他に
 スキルという自由に成長選択可能な能力値を持っています。
 これは従来の特技に代わるもの。
 この1人5種のスキル、能力個性は
 キャラクターの性格個性の強調と
 職業の固定化、役割明確化によって成長自由度が削減されたことを補うもの。

・例えば僧侶職業役のククールは、剣、弓、杖、格闘、カリスマの5種。
 剣は単体攻撃志向、
 弓は間接攻撃、ダメージ値でなく追加効果狙い、
 杖は呪文能力補正、
 格闘はシステムの「遊び」であり、
 カリスマは個性を演出する補助能力。

・僧侶という役割の範囲内で
 キャラクターの個性を演出し、また成長自由度を持たせる。

・成長の仕方に幅を持たせる特殊化、専門化の成長システム。
 専門家の使い分けが今回の戦闘戦術。
 
・そして敵能力値もそれに合わせて設定されています。
 この匙加減はまさに芸術的。
 力押しでも勝てるし、考えればより容易に勝てる。
 オート戦闘も相変わらず優秀です。AIとは呼べませんが。



・また、スキルによる能力成長の幅は、キャラクター個性だけでなく
 武器個性も付加しています。

・武器個性は基本は攻撃力という性能値と装備可否。
 そして購入手段、コストも基本性能の一つです。
 攻撃範囲、攻撃回数、命中率、追加効果がバリエーション。
 これら要素は従来「ドラクエ」においては控えめで
 防具の属性耐性に比べれば変化に乏しいものでした。
 
・スキルの選択肢が武器種類単位であること
 特技選択がすなわち武器種類選択であること
 選択がプレイヤー自身で自由に行えることで
 武器に攻撃力以外の個性が付与されたわけです。

・いつ、誰に、どれを装備させるか。だけでなく、
 いつ、誰に、どのスキルをどの程度育てておいて、どれを装備させるか。
 武器個性を付加することで
 どの武器を選ぶかの選択幅を狭め、選択肢を増やす。
 狭めて広がっている。なるほど見事。


・店で購入、ダンジョンの宝箱、あるいはイベント入手、
 という従来のアイテム入手方法の他に
 錬金釜というアイテム合成手段を加えることで、入手機会選択肢を広げています。
 アイテム合成は無価値アイテム、価値の目減りしたアイテムに
 新しい価値を付加できる。
 他のゲームにも見られるシステムですが
 合成手順範囲、その情報の与えかた、合成時間というコスト、これら条件設定が秀逸。


・様々な要素を踏まえてどの段階で上位アイテムに変更するかの戦略が
 「装備アイテム」というコンピューターRPGの大きな魅力カテゴリー。
 このバランスも素晴らしい。本当に絶妙です。
 値段は高すぎず安すぎず。
 高いアイテムは入手できる財力がつく頃にはより高性能のアイテムが拾えて
 買わなくて良かった、とお得感が味わえる釣り商品。
 このバランス、本当に心憎いばかりの出来なのです。



・「ドラゴンクエスト8」。
 考え抜かれたゲームルールと素晴らしいバランスを持つロールプレイングゲーム
 それが高い技術力で見事に表現されている。
 そして多くの人に受け入れられている。
 ゲームに価値をつけるならば、この作品を超えるものを探すのは難しい。



・本作についてはまだまだ書くべきことがたくさんあります。
 ネタバレの問題もありますので、順次書いていきたいと思います。

・プレイ時間は攻略等をみないで初回およそ50時間。
 クリアレベルは40弱。

・攻略はこちら
       ドラクエ8 極限攻略データベース http://dq8.info/
 
 でもやはり、最初の1回は自分の力でクリアしたいものです。
 ゲームはクリアすることが目的ではない。
 楽しむことができればそれでいいのです。
 そして「ドラクエ8」は安心して薦められる作品です。

・恒例の公式ガイドブックは
 「アルティマニア」「解体真書」のスタジオベントスタッフhttp://www.bent.co.jp/)が
 担当。2月上旬発売予定。楽しみです。
 「FF10」のような中途半端なものではなく
 その2冊で完璧なものを期待しています。


・では私は2週目に行ってまいります。
 他のゲームが積み上がる一方なのですが。