『美女で野獣』を楽しめる選ばれしひと

kodamatsukimi2005-01-25

　『美女で野獣』第６集
　著者；イダタツヒコ　小学館　サンデーGXコミックス　ISBN:4091571662

・昨年2004年ベストマンガは何か、というと
　もちろんひとそれぞれでしょうけれども
　やはり衆目の一致するところでは
　ジャンプの『DEATH NOTE』ということになりましょうか。
　週刊での刊行形式を活かした先の読めない展開。次回へ続くの引き。
　次の回をなんとしても読みたくなるマンガです。

・一方でそんな有名なマンガを褒めることは誰にでもできる、と
　マニアを自認するかたがたの、さて推す作品といえば。

・それはマニアな方々ですから
　売れてない雑誌、読みきり短編などからひっぱりだしたりしまして
　自分だけが知っている作品、
　違いのわかるひとのこだわりの一品、をアピールしております。

・そんなマニアさんたちによる『デスノート』対抗作品が
　『夕凪の街桜の国』（ISBN:4575297445）。

・著者はこうの史代さん。
　元は双葉社の漫画アクションでの読みきり掲載作品。
　何度もつぶれかかってリニューアルしているギリギリの雑誌に掲載された
　わずか30ページの短編を
　目ざとく見つけて拾ってくるのですからマニア恐るべし。
　なぜか私の手元にもその切抜きがありますが。

・『夕凪の街桜の国』は『夕凪の街』としてアクションに掲載された短編に
　『桜の国』という地続きの続編を書き下ろして刊行されたものです。

・以下、帯の推薦文より。

　実にマンガ界この十年の最大の収穫だと思います。
　これまで読んだ多くの戦争体験（マンガに限らず）で、
　どうしても掴めず悩んでいたものが、
　ようやく解きほぐせてきた思いです。
　その意味でこの作品は多くの記録文学を凌いでいます。
　マンガ史にまた一つ、宝石が増えました。
　こうの史代さん、ありがとう。
　　　　　　　　　　　みなもと太郎（漫画家）

　ふと思ったのですが、前回のロマサガセリフ集もそうですけど
　このようなのは著作権侵害になるのでしょうか。
　全文引っ張ってきているわけですし。問題があれば削除します。

・絶賛しておられます。みなもと太郎さんもマイナーなマンガ家さんですが
　『ホモホモ7』とか……
　もとい『風雲児たち』という傑作歴史マンガでマニアには有名なかたです。
　アマゾンのカスタマーレビューも大絶賛。ほとんどの人が満点。

・ほめすぎ。
　かどうかは読んだ方が判断されることですが
　私は同じこうの史代さんの作品では『ぴっぴら帳』のほうが好きでございます。

・『ぴっぴらノート』、読んで見ますと小学校低学年くらいの女の子が
　ことりを見つけるところからはじまります。
　第二話を読むと、どうやら彼女は食堂で働いているようです。
　児童福祉法とか労働基準法違反だぜい、
　いや絵の感じからして戦後すぐとかのお話でありますか、
　と『夕凪の街』を読んだ後なのでそういうことにして読んでいきますと

　どうも高卒らしい。
　カレンダーが1998年になっている。
　現代で食堂の手伝いが仕事とはなんて斬新な。

　成人式はもう済ましている……。
　なんということか。
　このマンガは二十歳過ぎの女性も小学生も同じような外見なのか。
　と愕然とするマンガです。

・もとい。
　本題からずれまくりですが
　そんな片寄った見方しかできないわたくしとにとりまして
　いま、一番読んでいて面白いのが表題の『美女と野獣』です。

・半年前の前巻でも紹介いたしました。

　『美女で野獣　第5集』http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20040620

・このマンガは片寄った私でも人をとても選ぶマンガであると思います。
　合わない人には何の面白さも感じられない
　くだらない下品なマンガにしかみえないでしょう。
　何があっても何百万部も売れるマンガではありません。

・そこで考えてみました。このマンガを楽しんでいるひとは
　どのように片寄っているかの一例。ゲームはさんざん挙げているので省略。

　映画で言えば小難しい『マトリックス』よりご都合主義の『リベリオン』、
　『インディペンデンスデイ』はとても楽しく笑えるアメリカ映画、
　『スターシップトゥルーパーズ』は「私は戦争が大好きだ」という
　ハインラインの叫びを見事に映画化した傑作。バーボーベン監督さすが。
　香港映画はあのB級感こそが味である。エンディングのNGシーンとか。
　そういう意味では『マッハ！！！！！！！！』も良かった。
　『キルビル』はむしろVOL.2がわれわれ向けであり、『少林寺三十六房』最高。
　マンガで言えば島本和彦は序の口、
　いつのまにか４９冊もでている『ゼロ』といえども
　くだらないマンガを描かせたら右に出るものがない細野不二彦にかかれば敵ではなく
　星野之宣といえば完璧過ぎる『２００１夜物語』ではなく
　俺はこの『ベムハンターソード』を選ぶぜ！
　あとは『バーチャ』が予想通り速攻打ち切りの松本久志先生『悪がよぶ！』。
　そして『サイドカー刑事』こそ20世紀を代表する傑作である。