「ピクミン」と「ピクミン2」

kodamatsukimi2005-02-12


 GC 任天堂
 「ピクミン」   ’01年10月26日 ¥7,140 ASIN:B00005QTTT
 「ピクミン2」  ’04年 4月29日 ¥5,800 ASIN:B00009KAPM
 「1+2パック」 ’04年 7月17日 ¥10,500(販売終了店頭在庫のみ)

 公式サイト「1」 http://www.nintendo.co.jp/ngc/gpij/
      「2」 http://www.nintendo.co.jp/ngc/gpvj/

・「ピクミン」どんなゲームか。

・毎週ゲーム雑誌を欠かさず眺めている私ではありますが
 要は、わらわら群がるピクミンたちに指示を出し
 敵を倒してアイテムを集めるのが目的のゲーム、であろうと。

・効率よくピクミンの数を増やし、損害の少ないよう敵を倒し
 制限時間内にアイテムを余さず回収する。
 指示を出すアクションと、どのようにステージ攻略をするかの戦略性。


・実際に遊んでみても、そんな期待を裏切らない、外していないゲーム。
 こう思いました。やはりこのような感じでありましたか。



・ジャンルは「AIアクション」。
 ピクミンたちはAI(人工知能)を持っていて、自分で考えて動いてくれますよ。
 ではプレイヤーの受け持つ操作はというと
 RTS(リアルタイムストラテジー)の操作でのパズルアクション。

ピクミンたちへの指示は目的対象を指定するだけ。
 アイテムを拾おう、邪魔な扉を壊そう、川に橋を架けよう、
 そして敵を倒してエサにしよう。
 正面から突っ込んではこちらが逆にエサになる、
 背後から投げつけ、頭にかじりついて攻撃だ。


・「移動」「攻撃」の指示ではなく、「あれ」の指示をするだけ。
 このようなRTSは昔からありました。

・例えばアイレムの「ナポレオン戦記」(ASIN:B000068HFS)。
 兵士たちに矢印カーソルで指示を与えるだけのゲーム。
 リアルタイムでどちらの方向に進むかを指示するだけ。
 そこに敵がいれば攻撃、いなければ前進、後ろ向きに指示すれば後退。
 敵の正面への大砲攻撃を左右に分かれて避け
 後方に回って大将を討ち取るのが必勝パターン。
 こちらの大将は常に画面下隅へと逃げ続ける。
 これのどこがナポレオン戦術なのだろう、といった感じではあります。

・今のRTSはPCで、つまり日本以外で大きい市場を持っています。
 「エイジオブエンパイア」や「スタークラフト」。
 多数のユニットに指示を出し、アイテムを集め、数を増やし、
 相手を倒すのが目的。

シミュレーションゲーム、「大戦略」や「エムブレム」とどこが違うのか。
 ゲームの進行がターン制でなくリアルタイムであること、
 ではありません。「リアルタイム大戦略」もありますし。
 それはつまり、「あれ」という目標物を指示するだけ、というところにあります。


・RTSはユニットを生産して、敵に攻撃、街を占領する、というゲームではない。
 ユニットの数と質を高めるためのアイテムの収集と、その生産陣地の構築、
 SLGの「生産」「軍事」を、同時に行うことで
 より多様で、戦略的(ストラテジック)なゲーム展開を持つものです。 

・その同時性、フィールド全体を使う戦略性を活かすためには
 多数のユニットが必要。
 そしてそれを表現するのはとても大変です。
 「真・三国無双」で突出したプレイヤーキャラクターが存在せず
 すべての兵士を指揮して敵を叩き潰すゲーム、
 生産がからんでその何倍も忙しいゲームです。

・また同時性が活かされるのはリアルタイムであること、
 そしてそれゆえに対人戦がとても面白くなります。
 家庭用ゲームでRTSが受け入れられないのは
 多数のキャラクターをコントロールする操作機器と表示画面の問題のほかに
 通信による対人戦をしてこその面白さが重要であるからでしょう。

・とてもPC向け。
 セガが「ドラゴンフォース」(RTSではないですが)、
 そして「ハンドレッドソード」といった作品を出しましたけれども
 やはり難しい。
 それはアクション要素がとても独自のものだからです。


・「ピクミン」はRTSの仕組みを使ったパズルアクション。
 「レミングス」「ポピュラス」のようでもありますが
 どちらとも違う。
 RTSの相手より効率よく生産し、効率よく攻撃する、というシステムから
 相手を除き
 時間内に効率よくピクミンを増やし、効率よく邪魔するものを退けて
 アイテムを回収するのが目的。
 その戦略性がパズル要素で、指示する操作がリアルタイムアクション。


・操作は任天堂ゲームにして相当複雑。
 すべてのボタンを使い、それでもまだ足りないくらいに。

・RTSとFPSはPCのマウスとキーボードという操作機器あってのものだ、
 と考えられていましたが
 それは単に工夫が足りないだけ。
 「ヘイロー」が「アウトトリガー」のような操作方法で売れるとは思えません。

・RTSも汎用コントローラーで遊ぶことができるはず。
 その操作方法の落とし込み工夫は、さすが任天堂
 けれどもそれでも、まだ完璧とはいえません。

・視点変更にLRキーがもう一つ付いていたら。
 十字キーが3Dスティックだったら。
 宮本茂さんはGCコントローラーについて
 理想に近いものができた、とコメントしていましたけれども
 「ピクミン」を作った後ではそうは思っていないかもわかりません。

・アクションの気持ちよさを追求する任天堂において
 汎用コントローラーにあわせなければならなかった操作方法は
 満足いくものではなかったでしょう。
 けれどもRTSの操作として現時点最高のものではあります。



・「ピクミン」はやはりそのようなかたちの上質なゲーム。
 任天堂らしさとは
 コントローラーでその世界に介在する気持ちよさにある、とすれば
 操作回りこそやや不満なものの
 その大人の機知が聞いた世界観、相手を選ばない映像作り、
 そしてゲームとしてのフィールド設計、アイテム効果、敵能力といったところは
 本当に抜かりなく、わかっているつくりです。


・「1」と「2」の違いは制限時間。
 「2」に自己制限を科せば「1」と同様のゲームになりますから
 バリエーションの増加による正当進化といえるでしょう。


・やりこみがい、ゲームのボリューム、それがあるなしはもちろんありますが
 この高いレベルのゲームにおいてもそのような見方は的外れ。

任天堂の大作、「マリオ」「ゼルダ」と並ぶ本作は
 欠点を挙げる減点法なら10点満点で8点、9点になるでしょう。
 しかし加点法でみて、はたして他の8点のソフトと同じ質といえるでしょうか。
 「風のタクト」が後半のお使い要素でマイナス1、
 しかしその他のあらゆる面の圧倒的作り込みからくる実力は
 他の凡百のゲームの並ぶところではないのです。 


・「ピクミン」はRTSから新しく作り上げられた今までにない素材でできたゲーム
 「ピクミン2」はそれをより幅広く深く掘り下げた作品。
 わかっているゲーム、上質で大人の世界観、それを支える作り込み。
 まさに任天堂らしい、上質のゲーム。



 参考;ゲームウォッチレビュー 
    「1」http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20011109/ninten.htm
    「2」http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20040601/pik.htm
   
 攻略サイト;カモ・ネット ゲーム攻略 
         http://ito.cside.com/kamonet/game/pikmin/
       takekeのゲーム攻略研究所 ピクミン 総合攻略研究室
         http://takeke.client.jp/pk/pk.html