『三国志大戦』全国決勝大会観戦記

 公式 http://am.sega.jp/utop/news/hagyo_3/


・本日10/22に羽田空港近くセガ本社で行われた『三国志大戦』の全国大会、
 その決勝大会を見てきたの記。

・いつもはできるだけそのゲームを遊んでいない方にもどんなであるか伝わるよう
 そのゲームの固有名詞はできるだけ使わないようにしているのですけれど、
 といっても「なになにみたいな」を連発していればやはりマニア向けであって
 わからないひとには全然わからないといわれるので開き直っていますが、
 今回は固有名詞が多く出ます。やむをえず。


・決勝大会の模様はネットで同時中継されておりまして
 全国どこでもみなほぼ同じものが見られたわけですが
 やはり実際会場に足を運んで狭い中足縮こませて声援送っていると違います。
 その雰囲気。
 普段ももちろん1戦¥300とかかけて勝負しているわけですから
 真剣には違いないですが、やはり大会の高揚感は良いものだ。
 各出場選手方々の内容も実に素晴らしい。
 幕間にプロである中国雑技団の方によるパフォーマンスがあったりしたのですが
 悪いですが、劣るとかでなく、上手いひとがゲームを真剣にするさまは
 そういうのより私にとって価値ある素晴らしいものと認識いたしました。
 どの勝負も大変素晴らしかった。
 優勝された炎帝「YO3」さん、おめでとうございます。



・今年3月に行われた前回大会(http://am.sega.jp/utop/news/hagyo_2/index.html)は
 見に行かなかったのですけれども
 今回も、会場11時から2時間前の9時過ぎにセガ本社のある大鳥居へたどり着いたのに
 既に長蛇の列。ぎりぎりメインホールに入れたのですが
 会場時間くらいに来た方はロビーにも入れなかったかも。
 『三国志大戦DS』の試遊台が用意されていても
 人垣に近づいて除くことすらかなわず。
 開始13時で終了18時。
 観戦スペースもカーペットの上で膝を伸ばせないスペース一日中ゆえ
 なかなかにつらいですが、始まってしまえばあっというまです。

セガの演出もなかなか力入れておりまして
 1回戦開始前の各選手紹介などSSQ、それがセガクオリティと
 ネットで揶揄されているのを踏まえたお馬鹿のり仕上がり。
 大会観戦は無料で出場料も¥500ですから
 大会そのものがファンサービス、営業販売促進活動の一環であるのですけれど
 プレイヤーコミュニティ、例えばここ(http://www.maximers.net/)などを
 うまく利用していて、良いことです。
 逆に、観戦した方々の立ち去った後にはゴミがおきっぱなし。良くないことです。



・1回戦、2回戦までは時間の都合上2戦同時進行であるので
 半数の勝負は良く眺めること出来ないのが残念。
 これはつまり公式DVDを買いましょうということでしょう。
 前回版はDVDが出るころにはver.2になっていたので微妙でしたけれども。

・選手のデッキを確認できた限りで見ると
 やはりここはずるい卑怯は敗者の戯言であるところの真剣勝負の場であれば
 現バージョンで強いと目される人馬と天啓、屍が多い中で
 大徳や魏武、攻守自在、袁6枚に神速6枚、流星からレアなし6枚デッキまで様々。
 多くの方がエリア大会を勝ち抜いてきたデッキを使用する中で
 「シフクノ」義勇兵の排出停止新R周瑜使用の呉主体が目を引くところ。


・緒戦最注目はやはり「劉備」大英雄の4枚八卦に対し
 真似できない個性的なデッキを操る同じく大英雄「全武将が○○」お二方の一戦。
 決勝トーナメント表が発表されて対戦相手が決まったあと
 「全武将が○○」さんがコスト総数11制限の中で2回戦馬単への対策も含め
 いかにして相手を封じるデッキを構築してくるかが注目。
 用意されたのは、呉涼6枚全武将が柵。徐盛、R王異、UC孫権李儒、R貂蝉
 と後はたぶんR呉国太。
 柵でR姜維、UC張飛を防ぎ、軽い騎馬2で伏兵踏みと逆サイドへの振り回し。
 神速戦法は麻痺矢、守りは毒。6枚で足並みを揃えさせず
 毒後の3枚八卦も後ろから回り込んで分散させる。
 確実にSR諸葛亮を切り離して落とす。
 相手にしたいことをさせない見事なデッキ勝ち。

・しかしUC董白に変えたの毒遮断、槍をなくした
 2回戦での人馬デッキ「YO3」さんとの一戦では
 序盤枚数差を活かし、遮断でUC馬騰を潰して攻めるものの一騎打ちで責めきれず。
 人馬で攻めてきたのを麻痺矢毒で防ぐ大事なところでなんとR王異に計略誤爆
 結局ここでのミスが響いて悔いを残す形で敗北。これも1回勝負の怖さです。


・開始前優勝者予想首位であった騎馬単の雄、「黄金の隼」大都督は
 1回戦は「アシミニ」さんの流星デッキを無理なく落としたものの
 2回戦で九州Aエリア代表「JoYToy」さんのR甘寧、R大喬入り天啓に敗れる波乱。
 封印は大華で打てないところに、敵城前で赤壁に見事焼かれた形。
 相手ももちろんここまで来る以上腕に劣るところがあったわけではないにせよ
 まさに波乱というべきひとつ。

・その「JoYToy」さんを焼いたのが「シフクノ」義勇兵の馬R周瑜
 1回戦人馬相手は呉蜀でしたが、ここではC丁奉入り天啓呉単。
 排出停止は間違いだったといわんばかりの快速火計が要所で必殺の炎を放って勝利。

・が、その進撃も準決勝で、同じく魏呉屍の「ノイ」大都督を2回戦で破り上がってきた
 関東A「ポポポ」さんに止められます。
 現バージョンでとかく弱体化されても屍にはC李典、R荀紣を入れて
 反計マウントから制圧する形が多いですが
 「ポポポ」さんはR楽進、C曹昂ですり抜けの押さえと
 R曹仁の刹那からの騎馬マウントを取るかたち。
 「シフクノ」天啓に対し序盤SR孫堅を落とさず刹那からの殲滅で一気の攻め。
 士気が溜まってからは屍から騎馬が散開して焼きどころを与えず的確に天啓を潰す。
 安定した勝ち方。お見事です。 


・最期に圧巻であったのが、前回大会を16歳にして制した大軍師「荀銀STO」。
 予告通り蜀単6枚回復デッキ。
 首尾一貫して操作技術が素晴らしい。戦況読みも無駄がない。
 R黄忠、UC張飛を盾にしてUC姜維とR龐統の1コスト組が連続槍撃で次々敵を潰す技術。
 UC甘皇后の使い方も、零距離連環への士気配分も完璧です。
 並みの腕では間違いなく勝負にならない蜀単回復デッキで、人馬相手に危なげない。
 さらにこのデッキ構築も自身独自のもの。恐ろしい。カリスマ的支配力を感じます。

・3回戦では前回大会決勝戦の再現となる一戦。
 1回戦魏呉天啓大水計デッキであった「うーたん」さんは
 残り3コストになんとSR周瑜を置いて、ここで投入。
 R龐統以外確実に落とすダメージ計略を入れて打倒STOを狙う構え。
 しかしここは大軍師が上手すぎます。
 SR周瑜の伏兵をR龐統で踏み、でいて囲まれて潰させず、
 UC甘皇后とR黄忠、UC張飛を回復の舞を踊らない状態で、序盤で1回焼かせます。
 士気が溜まったところでもう一度おとりを焼かせ、SR周瑜が下がったところで
 再起から即座に舞いでカウンター。零距離から城を削ったところで
 UC甘皇后は落として逆サイドの相手主力を連環。槍撃でR龐統がR孫堅を削り倒す。
 
・完璧です。反計も大徳もなくして回復デッキで業炎入りに勝つとは実に恐ろしい。
 上手いひとのはもちろんそのままに真似できないのはわかるけれど
 勝ち方の手順は真似できそうだ、と素人には見えるものですが
 新荀銀デッキは無理。真似しようとしても無理。
 「荀銀STO」さんと100回戦って100回負ける自信がありますが
 デッキを交換したら1000回戦って1000回負ける自信があります。 


・さてその「荀銀STO」準決勝の相手は人馬の「YO3」さん。
 「YO3」さんは人馬デッキで全国対戦ランキング一位と西涼皇帝位を
 獲得したことのある歴とした実力者。
 エリア大会(http://am.sega.jp/utop/news/hagyo_3/a02.html)レポートにあるように
 騎馬単ゆえの迎撃ピタ止め、壁突撃などの実力はもちろんですが
 「思考しながら試合運びをする」、あごに手を当てたポーズで
 どこでどの計略で守り攻めるべきか、試合全体無駄のない戦略が光ります。
 人馬デッキの騎馬単としての性能というよりも
 人馬封印西方3種計略を持つデッキとしての性能発揮に真価を発揮。

・既に2回戦で人馬デッキを破っている「STO」相手に勝負をかける箇所はひとつ。
 士気が溜まりきらず、つまり回復の舞いを踊った後、
 充分な体勢で連環を打てるようになる前に柵とUC甘皇后を潰すというそこ。
 序盤で深追いせず責めさせず体勢を整え、踊ったところで
 すぐさま人馬悪鬼神速大攻勢と勝負をかける。
 槍が3本だからもちろんまず人馬。城門を守るUC張飛
 零距離戦法で柵を守るR黄忠の順に分けて。逆はもちろん駄目。まとめては無理。
 UC張飛を離した時点で神速大攻勢と悪鬼で零距離を押し切る。
 乱戦でなければ迎撃槍撃で返り討ちになる。この順でなければならない。

・と、後から見るとそういうように見えますが、そこはそれ。
 戦況は常に、同じデッキどうしてあっても戦場地形や一騎打ち、互いの配置、
 わずかな妙で変わります。
 臨機応変の最適行動、その実行。言うは易く行なうは難し。
 「荀銀STO」さんの実力は間違いなく全国屈指ですが
 この一戦において「YO3」さんの基礎操作技術に支えられた見事な戦略が
 それに勝ちました。どちらにもミスらしいミスはない素晴らしい一戦。
 見ていて感激できます。心から両者に賞賛の拍手を送れます。


・決勝戦は人馬デッキと反計なし屍デッキ。
 どちらも強いデッキであり、操り手の実力にも大きな差はないですが
 やはりここは人馬デッキの万能なる強さを知らしめるものでした。
 騎馬単ゆえのわずかな隙を突いての端攻め。屍前の速攻各個撃破。
 封印でけん制して、充分な形でマウントを取らせないことに注意し
 屍からの無理な攻めを見越してはUC馬騰を確実に残す。
 人馬デッキ強い。屍と呉バラ天啓を完璧に封じ込められる強さだ。
 


・さて総じて見ると、開発者のかたも述べておられましたけれども
 『三国志大戦』も可動開始から1年半を数えて
 いよいよ頂上実力者におけるその操作技術は極まってきた様相であります。
 そうして現れた傾向は、4枚より5枚、5枚より6枚。
 高コスト高武力少数の集まりよりも
 低コスト低武力個々を機能させて落とさない操作技術を持つほうが強い。
 屍デッキはもちろん魏武6枚、神速6枚、袁6枚、多数飛天、悲哀、蜀単6枚。

・このゲームにおける最強のデッキとは何か。
 操作技術が上手いほど強いバランスであろうとするほどに
 そうすると計略の強さを弱め、使えないカードをなくして均すほどに
 多数枚数デッキを無駄なく扱えるデッキであるほど強いといえる。
 現段階では大水計6枚デッキであるかもしれないけれど
 反計が弱められたと同じようにしてダメージ計略威力、
 操作技術に関係するところが少ないところを削るとするならば
 それこそ飛天8枚デッキが最強である。
 でなくとも、腕が8本あるひとが最強ということになりましょう。


・前回も書きましたけれども、対戦ゲームバランスは、上手いひとが勝つのが正しい。
 ただそれでは上手くなれないひとが遊べなく遊ばなくなってしまう。
 上手いひとにとっては自分の技術が過小に評価され
 上手くなれないひとにとっては勝させてもらっていて、いずれ勝てなくなる。
 難しい。長くそのゲーム仕組みが回るほどその差は開いていくばかり。


・『三国志大戦』は大の大人が何万人何十万とつぎ込んでも
 大方大部分殆どが17歳の大軍師に勝てない(http://www.sangokushi-taisen.com/rank_play_all.html
 実に優れた仕組みの素晴らしいゲームです。
 私の遊んだ中では最高に良くできたゲームです。
 果たしてその未来やいかに。


・といったあたりで今後に続きます。
 対人対戦アーケードゲームは可動し続ける限り、競い合うひとがいる限り
 終わりではないのです。