『PGR4』とかレーシングゲームについていろいろ

kodamatsukimi2007-11-12



・既報の通り、我が家のテレビが最新製品に。
 ということで、その意義活かすべく今日このごろこの所は
 360のゲームをいろいろ遊び返してみたりする。

・美しいよ見違えたよさんろくまる。と続けて書きたいところであるのですが
 きれいさにはやはり存外すぐ慣れる、というより忘れる。
 隣に並べて以前と比べられるわけではありませぬゆえ
 前の状態はもう忘れ、もうこれが、そうそれが当たり前になってしまう。
 その差がすぐに、あまり意味なくなる。

・お金掛けた甲斐ある感動とは、安いものであることよ。
 もちろん、すぐ気に障らなくなるのが同じならば
 きれいで良く見えるほうが良いのは当然であるけれども。
 減価償却が一括処理でない意味がわかるこのごろ間もなく年末、
 外も懐も寒々しいこのごろでございます。



・そんな中から今回、まずは『PGR4』とかレースゲームについて。


・販売店の期待に対して売れていないのかベスト版周期が早すぎるのか
 早くも360恒例の店頭値崩れワゴン入りを果たしている『PGR4』こと
 『PROJECT GOTHAM RACING(プロジェクトゴッサムレーシング)4』は、
 より知られた例でいうと、SCEの『グランツーリスモ』シリーズのような感じの
 実際の車を運転するのに近い動きをする、
 しかしドライブシミュレーションというよりはゲーム向けである、
 車運転レースゲームであります。360だからもちろんオンライン対戦可能であります。
 公式 http://www.xbox.com/ja-JP/games/p/projectgothamracing4/ ASIN:B000RP5QIY
 発売元マイクロソフト、製作BIZARRE CREATIONS(ビザールクリエイションズ)。

・ちなみにGOTHAM(ゴッサム)というのは
 GOTHAM CITY「愚人の町」、ニューヨークの呼ばれ方のひとつである意味合いらしい。
 『GTA』のリバティシティとかバイスシティのようなものであろうか。
 秋葉原が電脳魔都とか言われるたぐいのそれですか、というと怒られそうな。


・車を普段使わずモータースポーツにも興味なく、レーシングゲームを遊ばないひとには
 パッケージ外見からはどれがどのように違うのかよくわからないのでありますが
 これら車を運転するゲームの要点は、操作するに当たりまして
 どれだけシミュレータ寄りなのかゲームよりなのか、
 砕けて言うと難しいかどうか、というところにあるといえましょう。

・操作していての楽しさで、どちら寄りがより自分に向いているのかを知っていて
 さらにどのゲームが自分に合うかも知らなければならない。
 それがこのジャンルなのであります。


・『PGR4』の他と差別化する特徴は
 レース中の天候変化と、同じレース内でバイクも使用可ということ。危険。
 バイクさんに車がぶつかるとかなり命に関わりそうな落車をするのですが
 数秒のロスタイムでなんともなく復帰できて、いにしえのファミコン時代を思い出す。

・昔のそれらと変わっているところは、大まかに言ってあまりないのですが
 画面がきれいになってそれっぽくなっていること、車の動きも本物に近づいていること
 そして細かなモードの追加でいろいろ遊べるようになっている工夫。
 あとはオンラインでの対戦。もちろん世界一を目指せます。

・この中で一番レースゲームが売りとしているのが、本物らしさ。
 出てくる車やレースコースの名前は実在のもの。
 外見も走った感触も、実際走ったわけではなくとも
 走ったことのある世界中の誰かが常にその良し悪しを判定する中での再現度競争。
 日本では鈴鹿や茂木や富士スピードウェイ、とかではなくて
 新宿駅周辺がレースコースになぜかなっております。なぜだ。
 面白いから良いけれども。建物の看板とかもそのままで、無駄にすごい。

・雨が降ったり雪が降ったりすると、見た目だけではなく路面の摩擦抵抗が変わって
 同じ様に曲がってもより滑ったり、ブレーキ踏んでもなかなか止まらない。
 雨上がりには水たまりが残り、そこでアクセル踏むとスリップしたりする。
 演出とわかっていても、雪がやんで陽が射すニュルブルクリンクからの景色は美しい。
 ドイツへ行ったことないので再現度がどうか、本物なのかどうかはわかりませんが。


・ゲームとしてみれば、レース前のロード時間が少し長めで気になるほかは
 特に不満のない出来。
 メニュー周りなど細かい操作の気持ち良さ、見た目のわかりよさときれいさ。
 良い出来です。
 レースコースは少ない気もしますが、その切り口はいろいろ多様、
 モードにより課題が色々用意されていて、経験が力になる誘導が豊富にあり
 真っ当てらいなく良く出来たレースゲームとして
 初心者へお勧めするにも良いものでありましょう。安くなっているし。
 
 


・『PGR』シリーズが他のレースゲームと比べてどのような位置にあるのか。
 どう違うのか。見せ方とか遊ぶルールとかそれぞれ違ったりしますが
 やはり大きいところは先に書いたように、ゲームよりかシミュレータかのところです。


・360では同じく良く知られた故ナムコのレースゲーム『リッジレーサー』も出ております。
 『リッジ』と『PGR4』、並べ続けて遊んでみると、なるほど確かに全然違う。
 『リッジ』はブレーキを踏む、ブレーキボタンを押す必要があまりなくて
 アクセル離してカーブを切れば、高速なめらか、しかし操作可能なままドリフトし
 そのためどんな急角度コーナーであろうと
 直前までアクセル踏みっぱなしの最高速で突撃しても曲がりきれてしまうのである。

・ちなみに「ドリフト」は、昔はレースゲームになかったけれども
 いつからか定着した車の重要な挙動である。
 普通に車を運転する分には、確実にドリフトしないで、
 つまり曲がるときにタイヤを横滑りさせないで曲がった方が早いし安全だし
 何より経済的に決まっているのだが
 見ため格好良い。ドリフトしたほうが速い場合もある。そのほうが楽しい。
 というような理由で推し進められたゆえである。
 『リッジ』の場合はそれが極端で、直線でもドリフトした方が早い場合すらある。 
 これってタイヤが本当に地面についているのだろうか。
 浮いてる方がこのゲームにとって自然なのではあるまいかというおもむきなんである。

・その実際にはありえなさそうな車性能を活かして
 レースコースもその魅力を活かすべく、車で走り回るというより
 そこを高速自在に踏破することが楽しい、ジオラマのような造形美あるもの。
 タイヤを履いているのでループサーキットはさすがになくとも
 ジャンプ台やトンネル内の高速カーブなど、実際には危険すぎるけれど
 ぶつけても壊れないラジコンを走らせるには必須のギミックで出来ております。 


・『リッジ』『PGR』を比べると、明らかに後者が実際に車を運転する操作に近い。
 車はいくらぶつけても壊れないし、運転しているひとも怪我することなく
 観客席に飛び込んでしまう恐れも、信号無視の大人も飛び出す子供もいないので
 ブレーキを踏む必要は同じくないけれど
 高速でカーブを曲がりきるためには、ドリフトだけでなく
 事前にアクセルを離しブレーキを踏んで、現実本物が実際するよう曲がった方が
 早い場合もあるコースの形と車の動きなのである。

・『リッジ』は減速することなく走り続けられる気持ち良さがあり
 『PGR』は低速コーナーから高速ストレートへ切り替えるメリハリの効果がある。
 そして、実際のコースや車を採用しているかや、見かけの絵作りとかからではなく
 『PGR』の方が、画面のスピードメーター表示と違って、速く感じられる。  



・レースゲームはスタートからゴールするまでの早さを競うゲームである。
 最短ルートを外れないよう正確に操作する。相手がいれば邪魔しあったりする。
 実際現実に行われている車やバイクのレースを
 テレビで見るそれと、テレビゲームの中でするそれは、とても似ている。
 それは、ゲームにとてもし易いものなのだ。

・サッカーやバスケットボールのように、複数の選手を同時に操作する必要がない。
 見た目も、車の運転席から見える景色というものはその実、眠くなるほど単調で
 道路が画面の奥へ続いてさえいればレースコースと認識できる。


・画面がきれいに映せるようになるほど、レースゲームも実際のもの、
 現実あるものに近づけていくことが出来る。
 スポーツを題材にしたものと同じく
 それがレースゲームの主調となる一貫した正義なのだ。

・実際には試すことは出来ないであろう有名コースを、似たものとはいえ走れる。
 より似ているほど良い。似ているほど似ているほど本物であるかのようであるほど
 良いに決まっているのである。
 現実と認識するものが本物であるかはともかく、
 偽より真のほうが良いに決まっている認識は正しいのだ。

・同じく車の挙動も、実際に売っているけれど予算の都合上手が届かないものが
 いくらぶつけても傷つかず整備も不要でガソリン値上げを嘆くこともなく
 いくらでも走りまわせるならば、それが本物のようであるほど良いに決まっている。


・それがテレビゲームでレースゲームをシミュレートして遊ぶものの正しさだけれども
 その需要層に対し、その時点で技術が許し展開できる見た目の切り口に
 もちろん限界は常にあるため
 本物により近いことだけを求めるのでなく、あえてそれに反する仕方もまた常にある。


・横スクロールアクションの『スーパーマリオブラザーズ』を
 ステージクリアタイム短縮だけに追求して遊ぶこともできる。
 クリアタイムが表示記録されたならば、障害物の敵は常に同じく出てきて動くから
 それはレースゲームとして成立する。
 スタートしてゴールするまでの早さを競うゲームであるならば
 現実に当てはめるならなるほど車やバイクを使うのがもっとも速く、妥当であるけれど
 そうでなければレースゲームでないわけではないのだ。
 そう言えば『トマラルク』とか『ソニックR』というのもありました。

・『マリオカート』は、実際にある車のようであることは求めておらず
 ゴールに着く順を邪魔しあいながら競争するゲームである、という路線を進めている。
 『リッジ』がそうであるように
 運転しても安全であることは現実に圧倒優位、保障できるゲームにとって
 本物に近づこうとすることで切り捨てなければならないものは
 自在に想像できる世界を操作する楽しさを制限してしまうものでもあるのだ。



・『PGR』は『リッジ』に比べれば、その動作挙動は本物寄りである。
 けれどレースゲームとして、より早くゴールすることが正しいということに
 関係ない部分ではゲーム寄りである。

・最高速で壁に正面から激突しても、ぽよん、と音たたないが跳ね返るだけで壊れない。
 対戦相手の車にぶつけても減速するだけで『バーンアウト』のように爆発しない。
 レーススタート直後の第一コーナーでは、ブレーキ踏まずに突撃しても
 真面目にブレーキ踏んでいる相手にぶつけて曲がれる速度まで減速できる。

・なるほどリアルで現実的で本物ではなく、ニセモノでまがい物でフェイクで嘘だが
 1対1でなければ、ぶつけられなかった車は
 ぶつかり合って減速している我々より優位に先へ行けるのであり
 壁にぶつかっても壊れない代わり、適正速度で曲がるよりドリフトするより確実に遅い。
 ゴールにたどりつく早さは、そうしなかった時より確実に遅い。
 しかし、必要以上にストレスがたまることもない。ゲームなのだから。
 そこで身体障害負うことも、ゲームオーバーになることもないのだ。


・レースゲームにもいろいろある。
 『マリオブラザーズ』のように敵を邪魔し蹴落とすことが楽しいもの。
 『F-MEGA』のようなビザールで魅力的なコースを安全に走れること。
 事故に巻き込んだ量が多いほど高得点のレースゲームもある。
 敵は銃撃して排除。依頼を果たすためにはどんな手段も許される。
 勝てば良いのだ。ゴールに速くたどり着いた者が勝ちなのだ。
 決着が付いた時に優れていた方が価値。それがゲーム。
 早さでその価値を競うのが、レースゲームと呼ばれるものなのである。


・レースゲームは、正解ライン上を正確にたどり続けるだけのゲームである。
 しかしそれでも面白い。
 オンラインで回線向こうの誰かとその一瞬に速さを競う。
 どれだけ早いラインを知っているかの知識と、それを外さぬ操作の上手さを競う。
 もちろんなお面白い。

・負けると悔しい。勝つと嬉しい。たとえ相手が過去最高の自身であってもそれは同じ。
 敵は破壊できない。しかし明確に勝つことはできる。
 規則は単純。唯早くゴールに着くこと。


・実際に現実世界で車を運転した方が楽しいに決まっているのである。
 五感が受ける刺激の量。快感の桁が違う。
 これが本物だ。間違いなく正義だ。

・ゲームはその本物である現実にあるもの。
 それでできること、それは現実にできないことではなく
 し難いことの、代替現実であることもそのひとつである。
 お金も手間も、誰の命もかからない。
 それがレースゲームがテレビの中にある価値なのであります。