ダンガンロンパ

ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生 PSP the Best
http://danganronpa.com/

今回は今月末に続編が発売予定のこちら。
AVGは読み終え……ごほごほん遊び終えるのに時間を要さないのが楽、
もとい楽しい時間がすくなくてざんねんしごくの次第ですが
遊んだ時間が少ない分、感想を書くのも苦慮するのである。
読書感想と一緒くたにしたい誘惑に襲われますが
ゲームはいちおうゲーム。
ノベルゲームと自称しているようなのだとさらに困るけれど
逆転裁判』はゲームなのだ、といわれると
まあそういう気もしないでもなくはないので。


本作は、題名がいまひとつはまっていない、
作品内容とそれが不可分に結びついていないよう感じられる作品で、
そういう意味では失敗していると思うわけですが、
ゲームとしての中身はおおよそ『逆転裁判』以降のそれ。
事件が起き、操作して証拠を集め、証言の証拠と矛盾するところを指摘すると
遊んでいるこちらが思ってみなかった真相に到り
推理した謎を解いたつもりがないのに、
自身の行動が結果として事件を解決してしまえる、という種のゲーム。
「ダンガン」のところに多少意味を持たせようとはしていますが空気。
略称として「ロンパ」としか呼ばれない。
むしろ栗悟飯とカメハメ波さんの「はい論破」のほうが印象残るくらいの感。


作品の売りとしてはむしろ『アルカノイド』マスターとして著名で
ドラえもんの声優としても知られる大山のぶ代さんを主役に起用とか
18禁ことZ指定のひとつ手前のD指定対象年齢17歳以上を
狙って取っているその作風にありましょう。
17歳と18歳でどれだけ違うのか、
特定非営利活動法人コンピュータエンターテインメントレーティング機構こと
通称CEROさんに是非訊きたい。いややはりどうでも良い。
高校生くらいの登場人物15人くらいが学校施設に閉じ込められ
そこで次々発生する嵐の山荘は孤立舞台の殺人事件。
犯人はもちろんこの中にいて、黒幕曰く犯人だけが外に出られるのだという。
学級裁判で級友から犯人を見つけ、出る釘を叩き、
みんな仲良く卒業するのだ抜け駆けはゆるさない。
という任天堂だと3DSで出すのに嫌な顔をしそうなお話。
血の色が赤でなければ良いのか、はCEROに言うべきか。


いくつか起る事件を解決しながら、仲間と協力して明らかにする、
この謎の学校の真実とは、が縦糸。
横糸の、殺人事件の容疑者になり得るくらい個性ある、
登場人物たちとの関係にあまり幅がないのは弱いところ。
ノベルゲームなら平凡で楽しい日常編をながなが描写するところですが
畳み掛ける推理ものとしての兼ね合い及び勢い重視か。
最後まで読み終えての推理ものとしてのまとまりと
登場人物たちが作る作品のふんいきの両者において
前者を優先してぶれがなかったのは、結果良かったところではありますが
作品の売りとしてはちぐはぐである。


そういう感じで
逆転裁判』以降のアドベンチャーゲームにおける位置は明確、
作品として個性ある一品であり、
だからゲームとしてはあまり癖がなく、
感想を書くところがそれほどなかったりする。
アドベンチャーゲームはこういうのが多すぎる、と言いたいところながら
セーブと選択肢が叙述トリックとかメタ視点なゲーム機でみる読み物、
問題自体より難度の兼ね合いのほうが難しいパズルを解くゲーム、
そのどちらにも寄らず、推理しているような気にさせる
1人用一度きり専用アドベンチャーゲームにおける『逆転裁判』の功績、
その楽しさの広がりを見出したこと、まこと偉大な発見と思う次第なので
そういう作品が裾野を広げていくのは大変結構なこととは思う次第。
ドラクエみたいなRPG」のように、
もっとこういう作品がたくさんあって良いのではないか、
そこから発展していけば良いのだと思う。


よりゲームゲームした『汝は人狼なりや』みたいな作品でなければ
質や性が高い偉いというわけではない。
ゲームであるためには
バトルで敵を倒したり弾を避けたり情報集めて謎を解かなければならない、
1人用ゲームだとそういう達成が、必要であるように思われるけれど
得点も情報もアイテムもコツも何も得ることなくセーブせずリセットしても
ゲームで遊んだには違いない。
それが楽しいかは、それとはまた別のことである。
本を読むように動画を眺めるように
ボタンを淡々と押して見進める行為を、ゲームと呼ぶかというより
なぜゲームがそれに置き換われないのかのほうが問題だ。
頭を使って悔いある敗北と深い達成を味わうことをうすくうすくしたものも
楽しくないと決め付けられるものではない。